第6回「自立とは」(ゲスト:河 京子)【後編】

「未来の教育を語る」第6回のゲストは、株式会社waris共同代表の河 京子さんです。今回の対談テーマは、「自立」。

後編では、河さんが関心を寄せるオランダからの観点も交えて語り合いました(前編はこちら)。

 

㈱ビッグトゥリー

代表取締役 髙柳 希

ディスカッション好きが高じて大学時代に起業。ディスカッション・コミュニケーション専門の教育会社として現在に至る。

株式会社Waris

共同代表 河 京子

 生き方や働き方への課題意識から女性のキャリア支援を行う会社を設立。東京から福岡へ移住し、自身もリモートワークで活躍する。

 


「自立」の手前にあるもの

高柳:河さんは、自分について知っている、気付いていることが多いですね!自分を知る機会ってどうやって持てばいいんですか?

 

河:私は、その日の恥ずかしかったこととか思い出します(笑)叱られたこと、悔しかったことも。

毎日反省です!他には、夫や共同代表に相談してフィードバックをもらったり、ディスカッションで意見をぶつけ合っていくと自分自身の輪郭が見えてきたりしますね。

 

高柳:確かにディスカッションをすると、違う意見をもらったからこそ見えてくる自分の輪郭みたいなものがありますよね!

 

河:自分の意見を押し通そうとしてしまうときは、自分の癖も見えてきますね。こういうことで私は自分自身をぼんやり見出します。

 

高柳:自分の中で理想と今を常に比較しているようですね。色々な人の「自分を知る機会」を知ると面白いかも!と思いました。「自立とは何か」も大事ですけど、その手前にあるものが自分を知ることなんだなぁと感じました。

 

河:自分の好き嫌いとか感覚的なことを知るということは大事だと思います。「自立しろ」といわれて自立できるものではないでしょう。

 

高柳:自分を知り、自分の核をつくるほうが結果的に自立につながるかもしれませんね!

河さんはそういった自分の核をどのようにしてつくっているのですか?

 

河:常につくり続けていると思いますね。「これが好き」「これがやりたいかも」と皆何かしら持っています。

それを見つけた時点からすべての人はつくり続けていくものだと思います。気づくタイミングは人それぞれ、自分の核をつくるのに遅すぎることはありません。

 

高柳:「やりたいこと」とか「好きなこと」という表現は、一番自分が気になるコンテンツのことですからね。そこから自分の核がみつかりそうですね。

 

河:doの下にあるbeingですね。おそらく、やりたいことは表面化している部分。その下にある感情とか、欲求を掘り下げていくことが過去を見つける行為につながると思います。これは、ディスカッションや他者との関わりで形が見えてくるものでもあります。

 

高柳:そうですね、子どもたちへも「将来どんな職につきたいか」の前に「どんな人間になりたいか」を聞いてみると自分との対話が深まると思います。

 

河:働き方改革が行われたからといって幸せは来るものではありません。自分が「どう生きたいのか」と問いかけることが重要です。

 

高柳:自分自身が「良いと思う」「やりたい」という核をわかっていないと、制度だけでは幸福感にはつながらないでしょうね。

 

河:前職、私は組織ではお客様に合わせた柔軟な対応を求められていました。これで、対応力は広がりましたけど、直感が鈍っていく感覚がありました。そこに目をつぶるからこそビジネスの世界においてロジカルな人間はつくられていくのだと思います。

でも、私は直感に対して敏感でありたいとも思います。直感磨き講座とかあればいいんですけど(笑)

自分のコアである直感を、みんなもう少し大事にしたほうがいいと思いますよ!

 

子どもたちにも選択権を与える意義

河:社会的な面や教育面で、私はオランダにとても興味があります。ちょうど、先日までオランダを訪問していました。「教育が優れている」ということで教育移住する人も増えています。

 

高柳:私が学生のころ感化されたのもオランダでした!共感しますね。

 

河:たとえば、オランダは子どもが世界一幸せな国といわれています。子どもを一人の大人として尊重し、子どもにしっかり選択権を与えることが自立した個人を育むことにつながります。だから、私はオランダの教育に共感できますし、日本もそうあるべきだと思っています。

 

高柳:私も教育に関して「選択肢」をたくさん取り入れることの重要性を実感しています。Dコートでもその日に話すテーマは生徒たちが選ぶスタイルです。

 

写真:ディスカッションのメニューから選ぶと、”お題”が提供されるDコート。

河:子どもにも思いや判断基準があることを大人は理解するべきです。そこで、子どもたちに自分で判断材料をそろえさせることが大事です。それができないようなら色々な判断基準を用意する環境をつくることが、大人のすべきことだと思います。

子どもをひとりの対等の個人としてとらえることが大事です。

 

高柳:確かに、最初Dコートの生徒たちはディスカッションテーマのメニューをつくっても選ぶことをしませんでした。「どれでもいい」って。

これが半年ほど経つと「これは嫌、こっちが話したい」と意思表示がしっかりしてきます。選択することに慣れていなかったのだなと思いましたね。

 

河:子どもの頃、自分で選ぶ機会や何が良いか問われる機会は意外と少ないですよね。

 

高柳:そうですね、私自身も振り返ると「与えられること」が当たり前だった気がします。

いざ就職となると無数の会社から選ぶように急に言われて、どう判断すればいいのかわかりませんでした。

これは教育の中にある課題のひとつだと思います。

 

河:先ほど話したオランダの教育ですが、オランダでは小さい頃から「あなたはどうしたいのか」と問われ続けます。

そのため、大人になって困ることが少ないのです。私自身も自分では考えていたつもりだったのですが、前職、組織に入ったとき、同様の質問をされて答えられませんでした。そのとき、挫折感と無力感を感じましたね。

オランダ人は自分の幸せを追求してわがままに生きているので他の人が幸せになることを邪魔しません。主張することが小さい頃から美徳だとされているからです。

 

高柳:そういう意味では、批判や反論に「耐える」のではなく「楽しめる」ことも大事だと思います。ディスカッションはみんながみんな論理的思考だけだと面白くありません。教育は人を画一化するのではなく、多様性の中でどのように関わり合えるか考える力が大切かなと思います。

 

河:個々が自分を主張する、はっきり伝える文化はオランダの経済成長につながっています。

かなり未来志向というかサスティナブルですね。「未来の子どもたちが幸せに生きられるように社会づくりをしましょう」という考えをもとに成り立っていると感じます。

 

高柳:自分のことを理解してくれる人には自分のことをしっかり言えます。まずはそういった場が学校や家庭だけでなく、他にもあるといいですね。私はそういう場を増やしていきたいですし、Dコートもその1つになるようにと考えています。

 

河:どこかに子どもが安心・安全に意思表示できる場が1つでもあれば、自分というものを表現して発揮できるようになると思います。「いかに自分のオリジナリティを出せるかというプロセス」こそが考える力を養い自分で判断する力を養います。強いては、考える人間・判断できる人間になっていくと思います。このような力が社会では求められると思いますね。義務教育にぜひDコートを組み込んでほしいです!

 

高柳:それは嬉しい一言ですね!ありがとうございます!

 


 

<次回予告>

次回のゲストはNPO法人アカツキの代表理事 永田賢介さんです。

対談テーマは「理想と現実について」。どうぞお楽しみに!

 

その他の対談記事


日本初!ディスカッションの教室「Dコート」

コミュニケーション力を総合的に育む教育プログラムです!

グローバル・政治・社会・哲学・自分・友だち、身近なことから社会のことまで幅広いテーマのディスカッションを通じて、豊かな視点や興味関心のアンテナが育まれます!また、一人ひとりの「自分らしいコミュニケーション」を大切にしながら、総合的にコミュニケーション能力を高めていくことができます。これからの時代に必須のコミュニケーション能力をぜひDコートで!