第6回「自立とは」(ゲスト:河 京子)【前編】

「未来の教育を語る」第5回のゲストは、株式会社waris共同代表の河 京子さん。会社を経営しながら、福岡へ移住、子育て、海外での学びなどとてもアクティブな女性です。今回、河さんと高柳とで「自立」をテーマに語り合います。

㈱ビッグトゥリー

代表取締役 髙柳 希

ディスカッション好きが高じて大学時代に起業。ディスカッション・コミュニケーション専門の教育会社として現在に至る。

株式会社Waris

共同代表 河 京子

 

生き方や働き方への課題意識から女性のキャリア支援を行う会社を設立。東京から福岡へ移住し、自身もリモートワークで活躍する。

 


二人が出会ったきっかけ

高柳:㈱ビッグトゥリーの高柳です。ディスカッション好きが高じて起業しました(笑)福岡で中高生向けのディスカッションスクールを運営しています。

 

河:私は知人と㈱Warisを立ち上げ、女性のキャリア支援の会社をやっています。専門性や熟練したキャリアを持つ女性と企業をマッチングする会社です。2016年に、東京から福岡へ移住してきました。

 

高柳:河さんとは共通の知人を通じて出会いましたね。某企業の会員様向けセミナーで2人とも講師をしていたんですよね。

 

河:お互い同年代・経営者・講師と共通点が多く、「女子会しましょう!」って流れになりましたね。

 

高柳:そうそう!何度か女子会を繰り返し(笑)仕事の話からプライベートまでいろいろと話しています。河さんはセミナー講師だと思っていましたが、そちらは本業ではないのですよね?

 

河:うなんです。本業の延長線上でキャリアセミナーをさせていただいています。

経営者や女性の管理職の方々へ興味を持っていただいて、サービスにアクセスしていただくきっかけですね。

 

二人が「起業」を選んだ理由

高柳:河さんの会社、waris(ワリス)について教えて下さい。

 

河:Warisはアフリカの言葉で「砂漠に咲く花」という意味です。女性が厳しい世の中でも頑張って、自立して生きていく強さみたいなものを砂漠に咲く花に見立てました。

コーポレートメッセージは「Live Your Life」。すべての人が自分らしく生き生き働き続けられる社会を実現する一翼を担いたいと考えています。

 

高柳:素敵な由来ですね!「すべての人」の中でも女性を対象にしているのはなぜですか?

 

河:マイノリティの人はたくさんいます。その中で女性は、マイノリティの中のマジョリティです。

そこで、まずは女性の働きづらさをなんとかしなければと思いました。

 

高柳:なるほど!私も福岡でもずいぶん女性の社会進出が進んできたと最近感じます。

 

河:企業と人材のマッチングで、雇用契約ではなく、あえてフリーランス契約をご提案しています。

 

高柳:そうなんですね。では、一般的な人材派遣や就職サポートの会社とは少し違うイメージですね。

 

河:現在、世の中的には雇用契約のスタイルが主流です。この主従関係から「一歩出ると食べていけないのでは?」と不安を持つ個人もたくさんいます。私はここへ危機感があります。

この環境に立ち向かえる自立した強い個人を作っていかないと、路頭に迷う人たちが出るのではないか?と。

そのため、働き方もフリーランスとして契約・成約いただいています。

 

高柳:企業も必要な仕事があるとき、適した人へ仕事を渡せますね。よい仕事をしないと信頼・信用もされない。しかし、その分個人が成長していくことができますね!

 

河:そうです。不安定な部分をもっと磨いていくとか、お客様への対応力を個人で養ってほしいと思っています。

ところで、高柳さんはなぜ会社を立ち上げたんですか?

 

高柳:私、本当は政治家になりたかったんですよ!

 

河:そうなんですか!?意外な回答で驚きました。

 

高柳:私は法学部でEU法を学んでいました。そこで欧州へ海外研修に行き、日本との違いに驚かされたんです。

特に、オランダは法律の移り変わりにおいて、日本との違いが鮮明でした。このときの経験から「法律を変える、社会へ影響するのは政治家だ」と単純に考えていました。コネクションや資金面の問題から挫折しましたけどね(笑)

 

河:面白いですね。今後もまだその目標は持っていてもらいたい。

 

高柳:その後、経済学部のベンチャー起業論の授業に参加しました。多くの経営者の話から、会社経営での社会への影響力を感じました。そこで政治家ではなく違う手段、「起業・経営」で社会へ関わろうと決めたんです。

 

河:そこで、軸は好きな「議論」にしようと?

 

高柳:そうですね。当時は、身近な人と議論をしたいと思っても怖がられたり、嫌がられたりしましたが。大学卒業後、すぐに起業したので苦労の連続(笑)その点、河さんはまず就職されていますよね?

 

河:私は、本当はジャーナリストになりたかったんです。少しでも社会をよくする一翼を担いたかったから。私は「ユニバーサルな社会にしたい」という思いを発信したくて。それなのに、インターンをきっかけに前職に入社してしまいました。そのため、ずっとひっかかるものがありながらも働いていました。

 

高柳:前職を辞めたきっかけはなんですか?

 

河:生きづらさを感じているマイノリティと一緒に社会を変革していけるような立場になりたいとずっと考えていました。それに前職にいた頃は、人の評価がとても苦手でした。でも、会社という庇護の下にいたのでなかなか辞めることができなかったのです。

 

高柳:先ほどのお話、「強い個人」にもつながりますね。人間は自分の環境を変えようとするとき、恐怖を感じますよね。

 

河:そのようなときに、今の共同代表たちと知り合いました。当時、本来持っていた志、周囲と自分の評価のギャップへの戸惑いなど、さまざまなものを抱えていました。「自分の経験でやってきたこと、やってこなかったことを正直に伝えよう!シンプルでいいんだ!」と思えたとき起業に至ったのです。

 

高柳:自分の疑問や社会への興味から起業した点は、私も河さんと同じだと感じます。でも、アプローチする角度が全然違いました!河さんと話すことで、自分について気付けた気がします。

 

河:コミュニケーションのあるべき姿ですね!

 

自立について考える

河:一人ひとりの「自立」は私の会社のテーマでもあります。自立について高柳さんはどう考えていますか?

 

高柳:そうですね、「判断力を持つこと」は自立のひとつだと思います。「この会社に勤める」「結婚する」など、判断によって人生がつくられていきます。その判断を、世の中や親といった自分ではない軸にすると自立心は失われるのではないでしょうか。

「自分が考えて自分の判断で決めること」が自立なのかなと思いますね。

 

河: とても難しいですね。正直、自分の判断も周りからの影響とか受けている面もありますから。

すごく線引きは難しい。人の意見で決めている、自分で決めていない状態とはどんなものでしょう?

 

高柳:「自分が納得していない状態」ではないかと思います。「批判的思考(クリティカル・シンキング)」というものがあります。コマーシャルやポスターを常に批判的に見るというような教育です。欧州などで強く見られますが、これによってより自分自身の納得を得ようとするのです。

私たちは多くの場合、無意識に情報をそのまま取り込んでいるような気がします。そして、何かが起こったとき、自分が納得していないことに気づきます。

 

河:その思考は大切ですね。神戸女学院大学に内田 樹 教授という方がいます。彼が著書の中で「葛藤が人を育てる」と書いています。私はこれにとても共感しています。正しいことがわからないときに初めて、人は疑問を持ち、考え、それが思考を成長させます。メディアリテラシーや疑問を持つ、批判的思考は自分で考えることにつながるし、自分で決めることにもつながりますね。

 

高柳:長らく日本文化の中では、みんなと同じことを「正解」とする面白い文化背景があります。

「みんな」という言葉はなぜか説得力を持ちますからね。

 

河:高柳さんがおっしゃった自立の定義から、高柳さんは自立していると感じますね!

実は私は、結構人へ依存します。たとえば、夫婦2人で意思決定したにも関わらず、東京から福岡に移り住むという選択へも反対しました。最終的には夫に押される形で決めました。別居という選択肢もあったのに、私は無理でしたね。私は依存をしない人が本当に自立した人だと思います。

 

高柳:それは依存というより、選択肢としてよい方を選んだのでは?

 

河:そうですね。子どものことなど、ライフプランを考えた結果の選択でした。そういう意味では得たいものを得ることができたと思います。反対に失うといえば少し違いますが、ビジネスチャンスなど厳しいものはあります。心のどこかで自分は自立できていないと感じます。そうなりたいけど、なりきれないなぁと思っています。

 

高柳:でも、それが人間なんじゃないですか?

 

河:高柳さんは、自分がこれをやり遂げるという信念があるので自立できていると思います!私は、結構柔軟に曲げるところがありますよ(笑)

 

高柳:私の場合、自立というより頑固なのかもしれません(笑)

河さんはとても自分に素直で、自分について理解していると感じました。

「自分と対話すること」これについても、ぜひ聞きたいです。

 

 

<次回予告>

 続きの後編は9月上旬配信予定です。

河さんが視察へ出向いたオランダの教育についてもお伝えします。

お楽しみに!

 

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