「人と自然を結ぶ対話と体験の場づくり」(ゲスト:志賀 壮史 グリーンシティ福岡)【前編】

【未来の教育を語る 】第12回のゲストは、NPO法人「グリーンシティ福岡」理事の志賀壮史さんです。前編は、環境保全や環境教育の活動について語っていただきました。

㈱ビッグトゥリー 代表取締役(写真左)

髙柳 希

大学在学中の2006年に起業。ディスカッション専門の教育会社として、企業研修や学校にて教育を行なう。2015年に小学生・中高生対象のディスカッションスクール「ディスカッションの学びの空間 Dコート」を開校。

グリーンシティ福岡 理事

志賀 壮史

NPO法人グリーンシティ福岡理事。自然環境の保全や地域づくり、環境教育などの分野でワークショップ・研修等のファシリテーターを務める。近年は特にボランティアリーダーやインタープリターの養成に取り組む。芸術工学 博士。


高柳:私は、2015年に子ども向けのDコートというディスカッションスクールや、学校などでディスカッションの授業をするといった教育関係の仕事をしています。

Dコートでは「自分で自分を育む」をテーマとして活動していますが、正直分かりづらいテーマです(笑)対談を通じて、伝えていければと思います。

志賀:志賀壮史と申します。私はカボスで有名な大分県の竹田市出身です。現在はNPO法人グリーンシティ福岡の理事をしています。環境保全、環境教育の事業やそれに関する研修、ワークショップ、企画、イベントなど人と自然を結ぶ対話と体験の場づくりのNPOです。

幼少期から自然が身近にあった

高柳:グリーンシティで活動する前は何をされていたのですか?

志賀:私は、現在46歳になりますが、大学は大学院の博士課程まで行きました。休学をしていたこともありましたので、ものすごく長く大学に在籍していたことになります。

2001年から社会人になり、2004年までは福岡で設立した民間のベンチャー系環境コンサルタントに勤めていました。当時行っていたことは現在とほとんど一緒です。

その会社に勤めているときに、ある造園業の方からNPO法人を作りたいので理事になってくれないかという打診を受け、グリーンシティの理事になりました。

高柳:それでは大学時代から緑や自然一色の活動をされてきたのですか?

志賀:5歳頃の記憶で、3歳の妹といっしょにお風呂に入っていた時に、お風呂の排水溝に水が流れる様子を川にたとえて、「川にゴミを捨てると神様に怒られる!環境を守ろう」というような設定でごっこ遊びをしていました。

私の住んでいるところは田舎でしたので、自然は身近にありました。テレビや本の影響もありますが、小さい頃から環境を守ろうという気持ちを持っていたのでしょうね。

人と自然を結ぶ対話と体験の場

高柳:グリーンシティの活動は、具体的にどのような活動を行っていますか?

志賀:私たちの仕事は、「対話と体験の場づくり」です。

求められる役割としては、「ファシリテーター」と「インタープリター」とボランティア活動の「現場リーダー」となります。

室内で行うワークショップや話し合い、ゲストがある勉強会や講座、体験型の啓発イベントを行っているときの役割がファシリテーターです。

また、森や公園などの自然や生き物の解説を行なったり、ふれあう機会を提供するインタープリターの役割。

現場リーダーとは、環境保全活動の運営を行う役割のことですが、環境に手を入れ、改善や介入を行う役割を持つこともあります。

高柳:自然の中で自然と人を繋いだり、実際の会議室でみんなでワークショップを行ったりしているのですね。ちなみに、どんな方が参加しているのですか?

志賀:たとえば、イベントが親子向けであったり、幼稚園児や保育園児などの未就学児対象であったりで異なります。

ただ、一般向けに広報をすると、何歳でも可能にも関わらず50代〜70代の方が多い傾向はあります。ちなみに苔(こけ)についてのイベントでは若い女性が多かったです(笑)

高柳:苔に女性が集まるとは意外ですね(笑)活動は夏が中心ですか?

志賀:いわゆる自然学校では、長期休暇に合わせてカヤックや登山、キャンプといった活動を行うため夏が繁忙期です。

グリーンシティではそのような活動は全く行っていませんでしたが、単発の観察会の依頼や幼稚園や保育園でのワークショップ、夏休み時期の鴻巣山でのワークショップがあり、今年は夏の活動も増えています。

高柳:鴻巣山でのワークショップでは何をするのでしょうか?

志賀:福岡市南区役所の主催事業です。

実際に行ったのは、「森の観察」「子どもでもできる森の木を伐る活動」「伐った木を使ったスプーンづくり」の3つのプログラムを行います。

環境保護と環境保全

高柳:どれも楽しそうですよね!ところで、なぜ木を伐るのですか?

志賀:里山はもともと人の関わりと自然がバランスをとって成立した環境です。かつては薪や炭を採取することで適度に手が入った明るい林が多かったのですが、現在は手つかずの荒れた暗い森ばかりになっています。

一部でも森の木を伐り、その木を使いながら環境や生きものの多様性を取り戻そうという考えです。

高柳:人間も自然の中に参加しているということですね。

志賀:私は「少しでも人の手が入るともうそれは自然ではない」という行き過ぎた考え方ではなく、加減しながら自然と付き合う作法や技術が大事であると思っています。

人の手が入った草原や明るい雑木林に依存した植物や生きものもたくさんいます。

高柳:自然保全といっても、色々な考え方があるということですね。

志賀:保護と保全を分けて理解すればいいと思います。「保護」とは、全く人の手が加えられていないところで今後も一切手が加えられないという保護地域のような考え方です。

「保全」とは昔から人が木を切っていたとした場合、そのシステム自体を残すという考え方です。例をあげると、阿蘇や九重の野焼きです。高齢化により、野焼きを続けられない地区も出てきていますが、毎年野焼きをすることによって草原が保たれています。

要するに阿蘇や九重の草原は人工的に作られたものであるということです。

※後編は、2019年12月27日(金)に公開されます。


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