第5回「主体性について考える」(ゲスト:戸田弟比古)【後編】

「未来の教育を語る」第5回のゲストは、みんなの劇場保育園の園長である戸田弟比古先生です!

前編に続き、「主体性」「協調性」を軸に語り合います。

㈱ビッグトゥリー

代表取締役 髙柳 希

ディスカッション好きが高じて大学時代に起業。ディスカッション・コミュニケーション専門の教育会社として現在に至る。

社会福祉法人音色会 みんなの劇場保育園

理事長/園長 戸田 弟比古

2012年「みんなの劇場保育園」を開園し、現在2園を運営。子ども達や保育士と関わる傍ら音楽業界等の経歴を保育に活かすユニークな園長。


「自己肯定感」を育むためには個性をさがす

高柳:幼児教育で協調性と主体性どちらもとなると、戸田さんはまず主体性を先に身に着ける、という考えでしたね(前編参照)。

私の子どもの頃は「個性」というキーワードも出てきたように感じます。個性について戸田さんはどのように考えていますか?

 

戸田:幼児教育の中で「自己肯定感」を持つことも強調されています。私はここへ「個性」が大きく影響すると思うのです。家庭環境の影響やほめるなど、自己肯定感についてはさまざまな方向から議論でき、一概には言えません。

 

高柳:なぜ自己肯定感に個性が影響するのですか?詳しく教えて下さい。

 

戸田:趣味や特技って個性の集まりだったりするでしょう。たとえば、絵が好だと絵に関する集まりへ参加します。

そこへ行けばコミュニティが生まれるから自己肯定感も保たれます。

 

高柳:確かに、ひとつでも自分に自信が持てる場所があることは重要かもしれませんね。

 

戸田:そうです。子供のころから好きなこと、得意なことなど「個性」を見つけることが自己肯定感へつながるのだと私は思います。たとえば、勉強が苦手でも絵画が好きだったりすれば「絵画を通じた友だちがいるから大丈夫!」と思えたらいいなと。

 

高柳:Dコートもそういった場のひとつになれることを目指しています。

学校でも塾でもない、思いっきり個性を出せる場にしたいです。

 

戸田:「主体性」「協調性」「自己肯定感」と幼児の発達段階にはどれも欠かせないキーワードです。

それにしても、日本は圧倒的に協調性の力が強いので、「主体性!主体性!」と多少強く訴えて、結果的にバランスがよくなるかなと。

 

高柳:それは私も同感です!欧米と同じになろうということではありません。協調できる日本人だからこそ持てるバランス感覚があるのではないかと思います。主体性って大人でも悩むポイントだと思いますね。

 

子どもの頃にバリエーションのある体験を

ーー幼いころから様々なことを学ぶ、幼児教育についてどう思いますか?

 

高柳:「幼児教育」「早期教育」という言葉はよく耳にしますね。英語など注目されていることは多い一方で、早くからそこまで必要ない、という考えもあると思います。

 

戸田:それは教育という概念の話になりますね。 教育は「教える」という概念やイメージがあるとします。

そうすると「どうなの?」という意見もあります。でも、バリエーションのある「体験」だとするとどうでしょう。

英語教育というより、早いうちから外国人に触れる体験があったほうが後々抵抗感は少なくなるという程度でも良いのではないでしょうか。バリエーションのある「体験」という意味では、ないよりもあったほうがよいと私は思います。

 

高柳:なるほど!そう考えると、幼児教育のイメージががらりと変わりますね。 

 

戸田:幼児教育や早期教育にはもう一つポイントがあります。「子どもの目線に立って良いかどうか?」とみることです。

 

高柳:「やりたい!」とか「面白い!」とかでしょうか?

 

戸田:そうです。極端に悪い例は、親が子どもにやらせたいとか、子どもの意思が考慮されていない場合です。保護者の強烈な「うちの子はこういう風になってほしい!」には共感できませんね。しかし、「子どものときのあの体験を子どもにも味わってほしいな」はいいと思います。

それぞれニュアンスが違いますから、幼児教育、早期教育でくくってしまわないことですね。

 

高柳:私も、一生やらないだろう芋掘りや餅つきを保育園で「体験」しましたね(笑)

 

戸田:そうそう!今の時代はなかなかできないよね。大人になると余計に。

 

高柳:わが家は絵に興味のある家庭ではなかったから、家でわざわざ絵の具を出して描くなんてことはなかったです。

保育園が絵を描く機会をくれたから、絵が好きだなと気づけたりしました。親の興味範囲以外を教えてくれる保育園、また、親は保育園と違うものをくれる。それが結果的には多様な経験になりますね。

 

理由が言えないことの壁

ーー最後に、Dコートについてご意見ください。

 

戸田:ちょっと時代が早すぎたかな(笑)あと20年位経てば…(笑)

 

高柳:えっ!長いですね、結構(笑)

 

戸田:20年は言い過ぎたかな、10年くらい時代が早すぎだとは思いますよ。今はまだ「ディスカッション」という言葉の受け取り方がばらばらです。ディスカッションしている人と、まったくやったことない人とはそのイメージが違います。

 

高柳:そうですね、「ディスカッション・討論=苦手」というイメージも耳にします。戸田さんはディスカッション好きですか?

 

戸田:好きですよ!実は、ディスカッション好きだったんだ!と気づいたのです(笑)

もともと、ディスカッションはテレビ番組で見る討論、激論だと思っていたので苦手イメージでした。でも、高柳さんたちと話しているうちにイメージが変わりました。

打ち合わせなどでも相手と「こうしよう」「これはどうかなって」議論している。これがディスカッションだなと。討論のVSモードのイメージとは違うんだと思えるようになりました。

 

高柳:そうですよ!日常でも、テレビやニュース見ながら隣の人と「ああだよね」「こうじゃない」みたいなことさえもディスカッションできますよ。

 

戸田: そういえば、Dコートは小学生からですね。幼児段階ではやらないのですか?

 

高柳:言語活動のタイミングです。幼児期はまずたくさんの言葉を覚えたり、発してみたりする時期です。

自分が他人からどう見られているか意識するのは、思春期と言われています。ディスカッションは抽象度の高い思考が必要になるので基本的には中高生からを対象にしています。小学生のプログラムは、どちらかというとディスカッションの準備体操のような内容ですね。

 

戸田:確かに、幼児期の子どもたちは覚えた言葉をとにかく使ってみたり、ケンカしながら相手との関係を学ぶ途中ですね。

 

高柳:ディスカッションの視点からは、「理由」に小さいころから触れるといいなと思います。たとえば、「嘘はダメ」と教わることはよくあります。ディスカッションで「なぜ嘘はダメなの?」と聞くと「普通そうでしょう」という答えが出ることもあります。常に変化する社会や状況では、「当たり前・普通」という感覚も何か具体的な言語に変換できないとコミュニケーションの壁になってしまいます。

 

戸田:まずは関わる大人が理由を言わなければいけませんね。

 

高柳:「普通」だと思っていると、例外に対して戸惑ってしまいます。たとえば、「女の子に優しくしなさい」と言われてきたけど、めちゃくちゃ強い女の子が現れたらどうでしょう?優しくすることは相手にとって嫌なことかもしれません。

多様性の時代には、自分にとっての「普通」が通じないことが想定されます。そこで理由を考えることができれば、その場に合った自分が納得できる答えを探せると思うんです。

 

戸田:幼少期は、まず自分の気持ちが言えることが大事でしょうね。顔色うかがって、本当はプリン食べたいのに「いや、僕はいいです」と言ってしまう。いやいや、5歳のうちはいいじゃん!「プリン食べたい!」で。まず、「こうしたい!」と自己表現が出来るのは土台の力ですね。

 

高柳:Dコートでは「言ってもいいんだ」とまず安心して発言できることを心がけています。同時に、自分の意見が相手に受け入れられないという経験も重要視しています。たとえば、ディスカッションの結果、Aに決まったとします。これはBが却下されたのではなく、Aに決まる過程でBは非常に重要な影響があったという考えを促進したいのです。カレーでいう溶けた玉ネギみたいな!

 

戸田:わかります、それがディスカッションの素晴らしさですね。日本も多様性の時代に入っています。ディスカッションは時代が今やっと必要としてきたという意味で「早すぎた」と感じました。Dコートはこれからですね!

 

 

<次回予告>

 

次回は株式会社Waris 代表取締役 河京子さんです。

女性のキャリア支援の会社を立ち上げつつ、自身もリモートワークで

働くという河さん。お楽しみに!

 

 

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