第2回「グローバル人材とは?海外から見た日本と教育」【前編】

「未来の教育を語る」第2回のゲストは、英語講師からタレント活動まで幅広く活動するブルース・ヘンデルさんです!ブルース先生と高柳が日本、そしてアメリカの視点からグローバル教育について語ります。

株式会社ビッグトゥリー

代表取締役 髙柳 希

「ディスカッション好き」が高じて起業

ブルース・ヘンデル

語学教師、ビジネスコンサルタント

アメリカ出身、英語を通して様々なビジネスを行っている

 


~日本在住 32年!ブルースさんと語る“日本の教育”~

ーーまずは二人に自己紹介をお願いします。

 

高柳:コミュニケーションとディスカッション専門の教育事業を約10年やってきました。私はディスカッションが大好きで、2015年に子どもたちとディスカッションを行うDコートをオープンしました。

ブルース先生とは、“英語”と“コミュニケーション能力”の両方をトレーニングする英会話スクールのプロジェクトで出会い、親しくなったんですよね。

 

ブルース:私は来日当初は英語講師を行っていました。他にも英語の記事を書いたり、論文訂正など英語が必要なコミュニケーションサービスを主にやっています。時にはCMに出たりもね(笑)

 

高柳:タレントでもあり、講師でもあり、ビジネスマン、幅広い活動ですね!

 

ブルース:そうですね。今は社会は、トラブルが起こったり、誤解が多かったりと、とても不安定になっています。それに人々は新しくチャレンジすることにも不安を持っているように感じます。

 

高柳:確かに、それは私も思います。その不安定さは、昔から日本に感じていたんですか?

 

ブルース:いいえ、昔の日本は素晴らしかった。

私が日本に来たのは1985年、九州大学のある教授に依頼され英語クラスを持たせてもらったときの話をしましょう。週1回の教室を23年間続けさせてもらいました。1人のクライアントで20年間以上も仕事を続けさせてもらえるなんてすごいことです。この教授に日本の社会や、文化、さまざまな素晴らしいことを教えてもらいましたし、このクラスで生徒と話し、非常に感銘をうけました。この仕事は、僕の生活の中心となり、その経験から日本は素晴らしいと感じたんです。

 

高柳:ブルースさんが日本へ来たきっかけはなんだったんですか?

 

ブルース:新聞社の方の紹介で25歳のときに日本へホームステイしました。そのとき紹介してもらった方々やステイ先の家族がとても良い方々でした。約束を守ることや、マナーや、考えていること、仕事をする上でのスキル、など素晴らしい人たちです。

つまり、日本の第一印象がとてもよかったんですね。

 

高柳:最初から日本に住もうと思ってきたわけではなかったんですね?

 

ブルース:最初は3か月くらい滞在するだけのつもりでしたよ。それから32年ですね!当時は英語のビジネスが伸びていた時代でしたから私の仕事もとても必要とされていました。

ただ、私の英語教育は当時から日本で行われていた英語教育とは異なります。たとえばTOEICとは違いますね。私はそれぞれの考えを共有できる会話やコミュニケーションを大切にしています。

社会について、正義について、また自分の人生について、そういうことを生徒には考えてほしいと思っています。

 

高柳:私も生まれて30年ぐらいなのでブルースさんと日本在住歴は同じくらいです(笑)

社会や哲学について考えることと、英語を話すこと両方を大切にしているんですね。

 

ブルース:もちろん文法も大切ですが、重要なのは思考です。アイデアについて議論できる力が大切だと考えています。

 

高柳:確かに、対話を充実させるには思考も必要ですよね!

 

~来日のきっかけは日本人の心の豊かさ「お醤油が借りれる国」~

ーー日本人の変化とはどのようなところで起こっているのでしょうか?

 

ブルース:日本人は思いやりや譲り合いなど深い内面の感性を持っています。また、行動や習慣にもそれがあり、内面と行動が一致していたように感じます。たとえば「いただきます」は心から思って言っていた。今はその気持ちがなく、単なる形式になっているように思えるんです。

 

高柳:どうしてそうなってしまったのでしょう?

 

ブルース:"豊かさ"はひとつの理由かもしれません。私の恩師は、幼少期に戦争の影響でとにかく食べるものがなく、食糧難だったそうです。

とてもつらい時代、その記憶があるから、彼女はいつも食べ物があることに本当に感謝しています。私たちには想像もできない時代ですね。

今はコンビニやスーパーはどこにでもあり24時間365日、全然クローズしない、配達までしてくれます。

昔の人は貧しさや苦労の経験から、心が優しくなっていると思います。

 

高柳:そういえば、私が小さい頃、まだコンビニが身近でなかったとき、近所の人が家に「醤油を貸してください」、

ってくる光景はかすかに覚えています。でも今は、私は隣の人に足りないものを借りたりしない(笑)

 

ブルース:言わないし、言えないでしょ。借りるよりも、その辺で買えますから(笑)

豊かになったことで私たちは人と関わる必要性が減ってしまいました。

 

高柳:なるほど。今までのお話から思ったのですが、ブルースさんは日本人より日本人らしく感じますね。

 

ブルース:外から見ているから、とてもはっきり違いが見えるのだと思いますよ。一番気づいたのは学生のマナーの変化です。

これはこの10年ほどで大きく変化したように感じます。

最もおどろいたのは、若い女子学生が「おしっこいきたい~」っていうこと(笑)

昔はそういうことは異性や先生の前で絶対言いませんでした、アメリカでも言いません。

 

高柳:"恥"の文化といわれる部分の変化ですね。ということは、いちばん変わったのは人々のマナーですか?

 

ブルース:そうです。マナーは表面に現れるものですが、マナーが変わったということは心が変わったということです。

 

高柳:マナーや恥の文化は確かに昔の方が長けていると思います。ただ、別の視点からみると私のイメージでは、昔の人はあまり本音を言わないというイメージもあります。

 

ブルース:そうですね、きらいなものでも我慢している。実は、日本に住むのは昔の方が住みづらかったんです。

とてもいろんなことを気にしなければいけない。今はそう気にしなくてもいいので楽です。

 

高柳:マナーは大切ですが、日本の文化的にみて、若い人がどんどん意見を言って一緒に話し合える雰囲気がない、という面が私は課題だと思います。さまざまな場面で年上の人には意見を言いづらい雰囲気を感じます。

 

ブルース:確かに、それはあるかもしれません。

 

高柳:大学のころ、アメリカ人の先生が私の意見を聞いてくれて、彼女も意見を言う、そういう"議論"が出来たのですが、ある日本人の教授は意見を言うと怒る人もいました。もちろん、人によりますが。。。

 

ブルース:そういう人もいますね。怒ってしまう先生は、先生に自信がないように思えます。意見というよりも、「私に不満があるのですか」ととらえているのではないでしょうか。

 

高柳:否定されたように感じるということですか?でも、どうしてアメリカ人の先生は聞いてくれたのでしょう。

 

ブルース:そもそもアメリカの場合は授業中よく質問します。先生に質問や意見することが日常的です。さまざまな意見を交わすことは、より真実を明らかにしたり、またそれをみんなが共有できると考えています。

しかし、あまり強く主張しすぎると妨げになる可能性もありますね。

アメリカ人は"協力"については認識が低いかもしれません。そもそも農耕民族に由来して日本人はこの"協力"を文化的に持っています。

アメリカ人の場合は日常的にそうではありませんが、“真に協力する”という意味では日本人よりも強い力を発揮するかもしれません。意見を交わし、様々な視点を取り入れて協力する、つまり“多様性”が強い協力の力につながると思います。

 

高柳:”多様性の上での協力”なんですね。どうしてそんなに意見を言いやすいのでしょう?

 

ブルース:文化的なものですね。そのひとつがクリティカルシンキングの文化です。

たとえば、今日ここにあるお菓子。きらいでも日本人は言いません。アメリカの場合は「ちょっと甘すぎませんか?」など言います。そうすると出した人は「では、次から甘くないものを出しますね」となります。アメリカの場合、より良くしていくために質問や意見することは失礼ではないんです。

 

高柳:そうなんですね!あと私の出会ったアメリカ人の先生は、考えを伝えると頭から否定せず、まず「なぜそう思うの?」と聞き返されていた気がします。クリティカルシンキングなんですね。

 

ブルース:日本の考えは禅のマインドが影響していると思います。禅の考えでは、心が安定している先生であれば生徒からの質問や意見も受け入れることができるはずです。プライドが高かったり、自信がないと、意見を受け入れるのは難しくなります。

この福岡で仕事をしているとさまざまな地位の高い人に会います。ヨーロッパのある王子が福岡に来たことがありました。

彼はどんな意見を聞いても怒ったりしません。彼はとても優しく寛大です。一緒にいるみんなはとても幸せな気持ちになりました。

高級なものも、そうでないものも、彼はいつも、何にでも感謝を表す人でした。自信があり、とても心が安定した人です。

 

~思った以上に「みんな一緒」私たちの環境~

ーーアメリカの学校と日本の学校の大きな違いはなんですか?

 

ブルース:違いを感じるという意味では、最近私の子どもたちの性格が変わることが気になっています。小学校のころと中学校のころでは変わっています。小さい頃は目がキラキラしていて、とても自信にあふれていました。でも、今は中学校に入り、社会に合わせるのが大変そうです。

自信がなくなり、子どもたちはとても苦労しているように見えます。

 

高柳:日本の子どもにはよくあることだと思います。小学生から中学生になったときに、まわりが見え始めます。まわりが自分をどう思っているかっていう視点が生まれだす時期です。今まで自分が「楽しい!」「嫌だ!」と思っていたことをまわりがどう思うか、比較し始めます。

これは自然な変化で、大人への階段ではないかな。こういった子どもの変化は海外の学校では起こらないのですか?

 

ブルース:もちろんあります、でも日本はアメリカよりももっと社会が統一しているから、よりストレスが強い気がします。

 

高柳:確かに、気にはするけど「こうでなければいけない」という風潮は海外の方がゆるやかな印象がありますね。

たとえば髪の色にしても、みんな黒髪ではないし。

 

ブルース:そうそう、同じことを考えていました! 

 

高柳:海外の場合はまわりを気にしたり比較はするけど、それは外見的なことではないのでしょうね。成績とかスポーツとかですか?

 

ブルース:そうです、見た目は関係ないですね。日本の免許証は目の色や髪の色を書くところはないでしょう。

海外にはあります。ブロンドヘアー、グリーンアイズ、でも日本は書く必要がない。みんな同じだという前提があります。

 

高柳:免許証にそんなに違いがこまかく書いてあるんですね!

 

ブルース:はい、私のアメリカの免許証にも書いてあります。グレーヘアー(笑)

日本はみんな「黒い髪」「黒い目」と言いますが、アメリカで皆さんの目の色は黒とは言いません。ブラウンアイズです。

信号機もそうです、青信号といいますがアメリカではグリーンライトです。

同じなのに、違う言い方をする、不思議ですね。でも、今はなんかあれが青に見えるようになりました(笑)

 

高柳:そう考えると日本人は自分で意識している以上に、当たり前に“同じ”としていることが多いですね。その分、合わせる意識も強いのかもしれません。

服装も、私は明るい色が好きですが、あまり派手にすると人目が気になることもあります(笑)

はじめてアメリカへ行ったとき、キャミソールの人とコートの人が混在するくらいさまざまで、私なんてまったく違和感なかったです!

<次回 後編予告>

後編では、学校生活の違いや、グローバル人材についてご紹介します。お楽しみに! 

 

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