第1回「ディスカッションを広めたい!Dコート開校までの苦節10年」【後編】

第1回は、創業時からのパートナーである㈱ビッグトゥリー仁田原と共にDコートの成り立ち、教育について語り合います。

後編では、Dコートと学校の違いやDコートのプログラムについて語ります。(前編はこちら

~学校や塾とは異なる教育の場~

ーー学校もアクティブラーニングなどの導入も徐々に増えていますが、学校とDコートの違いは何ですか?

 

高柳:そうですね、“違い”の前に少し私たちの教育への考えをお伝えします。そもそも私たちは教育がこのDコートで完結するとは考えていません。

いろいろな場所で影響を受け、それが結果的に子どもたちへ、良くも悪くも影響する。学校、家庭、地域、留学で学べることはすべて異なり、いろいろな環境があることを最も重視しています。そのため、Dコートだけで何かが完結するとは思っていないんです。

 

仁田原:学校と比べるものではなく、どちらも必要ってことですよね。

 

高柳:そうですね、その中で、Dコートの位置は“フェアな場”です。大人や子ども、年齢、学校も違うけど、ディスカッションする上ではフェアな場。つまり、私たちも「先生」ではありません。

これは学校との大きな違いではないでしょうか。

 

仁田原:Dコートには「ディスカッションコーディネーター」というディスカッションの専門家はいますよね。

 

高柳:はい、でもディスカッションコーディネーターは先生ではありません。

ディスカッションを深めたり、別視点で話せるようきっかけ作りは行うけど、落としどころをもって話したり、ディスカッションのストーリーを決めたりはしませんね。子ども達が行うディスカッションを大切にしています。

Dコートでは、ここにいる一人ひとりが「教えることもあれば教わることもある」という場です。

先生がいる学校、いないDコート、親がいる家庭、そんな多彩な関係性の場を持てることが重要だと感じます。「大人」とか「子ども」ではなく、一人の人として話せる人がもっと増えてほしいなって思います。

 

仁田原:Dコートをつくる構想時から、少人数クラスにもこだわりましたよね。大人数ではディスカッションがむずかしいですからね。

 

高柳:そのこだわりの一つが「反論」や「否定」ですね。Dコートでは反論、否定はおおいにありです。

 

仁田原:私も学校教育で否定をまっこうからされることは少なかったので、正直最初は否定や反論にはかなりの抵抗がありました。慣れてなかったんですよ。今も少し苦手かな(笑)

 

高柳:学校では大人数が一度にディスカッションする、これは本当に大変なことです。大人数で多数の人が同意している意見へ反論することは勇気のいることです。

Dコートは、少人数でディスカッションコディネーターがいるからこそ、フォローもしっかりできるし、「違う意見」に向き合うことができます。

 

仁田原:私が一番最初にDコートのプログラムの構想を聞いて、興味深かったのは「コート盤」です。基本的に多くの学びには順番があって、一章、二章と段階的にレベルアップしますよね。でも、Dコートのプログラムには段階がありません。どこからやってもいい、それを表したものがプログラムを円形にならべて表した「コート盤」です。最初に見たときは斬新だな!と思いました。

 

高柳:今日初めて来た子がすごく優れた部分や意見があるかもしれないですよね。ディスカッションでは「あとから来た子はレベル1から」なんてことがそもそもできないんです。ディスカッションの力は多角的に影響し合っていて...順序良く並べるのはとても難しいです。未知の可能性まで含めて考えたら、プログラムが円形になったんですよ。

 

仁田原:段階だから入ってくる知識もあり、それはそれで必要だから、あくまで「Dコートでは」ってことですよね。

 

高柳:もちろんそうです。ディスカッションを段階化するのは私には難しかった、悩みましたよ。

もしディスカッションを段階的に強化しているところがあればぜひ私も学びたいです。

 

~”自分で自分を育む”Dコートのプログラムとは~

ーーDコートの教育にはどんな価値があると思いますか?

 

高柳:Dコートにあるのは“自分で自分を育む”要素でしかなくて、得るものは人それぞれ、価値を固定化させるのはむずかしいですね。

たとえば世の中でいう「主体性」って無理やり生み出せないと思うんです。まずは自分で考えるとか、発言してみるとか、そうすることでだんだん興味がわいてきて、調べたり疑問をもったり、各自にいろんな反応が起こってきます。結果的に、その姿勢が「主体性」とよばれるのかな。

Dコートでは、ディスカッションのテーマもメニューから選びます。そういう自分で選べる仕組みなど、小さな工夫を大切にしています。

 

仁田原:確かにDコートの価値を固定化できないですが、「主体性」とか「考える」とか「協力する」とか、さまざまな要素が詰まっていること自体が価値かなと思いますよ。

ゲームだったりディスカッションのお題だったり、プログラムのアイデアはどこから出てくるの?

 

高柳:プログラムづくりはね、まず「小学生と中高生で全く違う頭のつかい方をしなきゃならない」ってことを訴えたい!(笑)

 

仁田原:訴える!?それは聞きたいね(笑)

 

高柳:とにかく中高生は「日常から社会、マクロ的なものまで幅広く行ったり来たりできるもの」を、小学生はとにかく「楽しい、夢中、〇〇したい!」という“欲求”を考えてつくるの。予測できる、「どうせこうでしょ」ってものじゃなく、「どうなるか分からない、ワクワクする、想像する、失敗する」そういうものの基本を取り入れてるんです。しかも、やらされるのではなく、自分がゲームをつくって誰かにやってもらうとこが面白いんですよ。

 

仁田原:中高生はいろんなディスカッションがありますよね。

 

高柳:はい、中高生にはディスカッションのお題を150種類ほどつくっています。まだまだ増やす予定です。お題はあくまできっかけです。この場で答えが出ることよりも「きっかけ」を大事にしていますね。

 

仁田原:みんなの意見を聞くと今までなんとも思ってなかったことへ興味が湧いてきます。

 

高柳:お題をつくるときは「みんながそのあと家に帰ったら、学校に行ったら、宇宙のニュースにであったら」って、私が知らない先の先までできるかぎり想像するんです。私たちにも答えのわからないお題ばかりです。

答えがわかるものはその先がないですから。Dコートの価値は「答えがないものばかりそろえてる」ってことですね。

小学生、中高生の制作物。ディスカッションお題や街をつくってプレゼンするなど様々。にぎやかで創造的な場がある。

右下はプログラムを円状に表したDコート盤、24コマで1クールのプログラムになっている。

 

 

~大人も子どもも楽しんでほしい!~

ーーDコートの課題やこれから取り組んでいきたいことはありますか?

 

高柳:今後取り組みたいのは、大人のみなさんもDコートに来て、意見を言って、耳を傾けてもらうことです。

目の前の人が何を考えていて、何を伝えたいのか。ちょっとでも興味を持てば、Dコートみたいな関わりって日常でもたくさんつくれるんです。

Dコートをきっかけに、まわりの人と“価値観の交換”を楽しんでもらえたら嬉しいです。

ぜひ大人の皆さんにもDコートへ遊びにきてほしいです!

 

仁田原:私はDコートの認知を広める、教育の選択肢を広めることですね。Dコートの手法やコンセプトをわかりやすく伝えられていないと思うので。Dコート自体はもちろん、教育に今までとは180℃違うものもあるんだと知ってほしい。その上で教育の選択肢にディスカッションを加えてほしいですね。

 

ーー最後に一言、ディスカッションの魅力を伝えるとしたら

 

高柳:“価値観の交換”これを永遠に言いつづけたいです。

「価値観の交換の先に何があるんですか?」ってもし聞かれたら、その前にまず「価値観の交換をやってみてください」とおすすめします。

その先に必ず得るものがある、学びはとなりにあるんです。「その料理どんな味ですか、食べたらどうなりますか?」と聞いても本当のところは食べてみないとわからないでしょう?

 

 

 

株式会社ビッグトゥリー

代表取締役 髙柳 希

「ディスカッション好き」がこうじて起業

株式会社ビッグトゥリー

取締役 仁田原 朋香

「ディスカッション苦手」が起業のきっかけに


<次回 予告>

第2回はマルチに活躍する英語講師のブルースさんをお招きします。

日本在住30年のブルースさんと、日本に生まれて約30年の高柳が

日本の移り変わりや教育について語り合います。

次回は1月8日公開予定 です、お楽しみに!

 

その他の対談記事


日本初!中高生対象のディスカッションの教室「Dコート」

コミュニケーションが総合的に学べる教育プログラムです!

グローバル・政治・社会・哲学・自分・友だち、身近なことから社会のことまで幅広いテーマのディスカッションを通じて、豊かな視点や興味関心のアンテナを育みます!また、一人ひとりの個性を尊重し、「自分らしいコミュニケーション」を大切にしながら、総合的にコミュニケーション能力を高めることができます。これからの時代に必須のコミュニケーション能力をDコートで伸ばしませんか?