地方ではなく、一人ひとりを盛り上げる

第13回のゲストは、㈱BOOK代表取締役の樋口聖典さんです。地方創生についての考えを語っていただきました!

高柳 : こんにちは、Dコートの高柳希です。

樋口:いいかねPaletteを運営してる樋口聖典です。音楽で生計を立てようと、2010年に「オフィス樋口」という会社を立ち上げ、音楽制作を始め多岐にわたる仕事を行ってきました。

故郷の猪位金(いいかね)小学校の廃校にともない、「音楽を使って田川を盛り上げる施設を作ってほしい」という田川市からの公募がありました。

現在の会社である株式会社BOOKを設立して応募したところ、この活動をさせていただくことが決定しました。

高柳 : 田川市の目指している「音楽」というテーマと合致したということですね。

樋口: 運命的なものを感じて、「やるしかない」と思いました。

時代の最先端を走っている

高柳 :音楽がテーマの施設ということで、音楽や楽器に好きなだけ触れることができるというイメージがあります。

樋口:そのとおりです。最初の頃は、私が東京で音楽によって生計を立てていた実績を活かして、「田川に音楽産業を根付かせる」というイメージを強く持っていました。

それが、2018年ぐらいから「音楽で稼ぐ」ということは、音楽の利用モデルとしてたくさんあるうちの1つに過ぎないと考えるようになりました。

音楽で稼ぐことができなくても、音楽があることによって田川市にとって何か意味があるのではないかと思うようになりましたね。

高柳 : 「仕事としての音楽」に限定しないことですね。いいかねパレットでの活動は、地域に対して強い思いなどがないとできないと感じていますが、何か特別な思いがあったのでしょうか?

樋口:根底には「田川という地域が日本にとってどのような地域なのか?」ということがあります。完全失業率、生活保護受給率、学力低下の問題が、全国の中でもトップクラスの町です。

ただ、ある企業の方が田川を視察に訪れたときに、「田川は決して価値が低い地域ではなく、時代の最先端を走っている地域なので注目しています」と言っていました。これからの全国の田舎は、田川のようになっていくという意味です。

田舎のモデルケースを田川地区で作ることができれば、これを全国の田舎に発信できるようになります。田川の中でこの役割の一部を担っているものがいいかねパレットであると思います。

地域をつくっているのは「人」

高柳 : 一番の課題は何でしょうか?

樋口:ずっとネックに思っているのが交通の便です。車がないとなかなか来ることが難しいですね。ただ、これは田川に限らずとも、全国の田舎が抱えている問題でもあると思います。

だからこそ、この解決法を私たちが知恵を絞って探っていかないといけないと思っています。

高柳 : いいかねパレットは、どんな人に訪れてほしいですか?

樋口:言い出したらキリがないですけど、あえて言うなら脱サラした人や大学を卒業して自分のやりたいことが見つからない人が1年や2年の長期にわたって自分探しをするために来てほしいと思います。

高柳 : 面白いですね!自分探しができるイメージですか?

樋口:私たちの会社の理念は、「どこでもできる世界をつくる」「なんでもできる世界をつくる」「だれでもできる世界をつくる」という3つです。

このような世界観を作り出すということが、いいかねパレットの目的であり、自分の会社の目的です。

高柳 : 無限の可能性を感じてもらうイメージですね!

樋口:地方創生を謳って地方創生をしている人に、疑問をもつことがあります。

あくまでも私のイメージですが、「地方」を主語にしている時点で「人」にフォーカスしていないなと感じてしまいます。

施設内を観察していると、一人ひとりの人の集合体であることがよくわかります。

地方創生を意識して行うのではなく、いいかねパレットに関わってくれる一人ひとりを盛り上げていくことで、結果的にその集合体である田川が盛り上がっていくと信じています。

※次回の「未来の教育を語る」は、引き続き樋口さんと教育をテーマに語ります。2/28(金)公開予定です。


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